「やりたいことがない…」と焦りを感じるのは、あなたが怠けているからではありません。
それは、これまでの人生を真剣に歩んできたからこそ訪れる、自分自身と向き合うための大切なサインです。
この記事では、「やりたいことがない」と感じる根本的な原因を年代別に深掘りし、明日からすぐに試せる具体的な見つけ方を8つのステップで解説します。
壮大な目標がすぐに見つからなくても、全く問題ありません。
この記事を通して、日常の中に小さな喜びを見つけ、次の一歩を踏み出すためのヒントを手に入れてください。
- やりたいことがないと感じる根本的な原因
- 年代別の悩みの特徴と具体的な対処法
- 明日から試せる「やりたいこと」の見つけ方8ステップ
- やりたいこと探しの心理的ハードルを下げる考え方
「やりたいこと」はなぜ見つからない?代表的な原因8つ
「やりたいことがない」と感じてしまうのは、決してあなたの意欲が低いからではありません。
その背景には、あなた自身の心の状態や、とりまく環境が複雑に影響しあっています。
なぜ、心が動くようなことに出会えないのでしょうか。
まずは、その原因として考えられる代表的な8つのケースを見ていきましょう。
あなたが「やりたいことがない」と感じる原因がわかっていないときは、次のセルフチェックをお試しください。
あなたの「やりたいことがない」原因を探る
心のコンディションセルフチェック
いくつかの簡単な質問に答えるだけで、
あなたが今なぜ立ち止まっているのか、そのヒントが見つかります。
あなたの心のコンディションは…
タイプの特徴
あなたへのアドバイス
ご自身の状況と照らし合わせることで、漠然とした不安の正体が見えてくるはずです。
原因1:他人と比較し自分を過小評価している
SNSなどで目にする他人の華やかな活躍と自分を比べ、無力感を覚えていませんか。
これは「社会的比較」と呼ばれる、誰もが持っている心理的な働きです。
他人の成功は、その人の努力のごく一部だけが切り取られて見えているにすぎません。
しかし、私たちはその1%の輝きを見て、自分の全てと比較し、無意識のうちに「自分には何もない」と自信を失ってしまう傾向があります。
あなたの価値は、他人との比較では決まりません。
まずは、その視点からご自身を解放してあげることが大切です。
原因2:「こうあるべき」という社会の物差しに縛られている
「この年齢ならこれくらいの実績があるべき」「安定した仕事に就くべき」といった、社会や周囲が作り出した「こうあるべき」という固定観念に、無意識のうちに自分を合わせていませんか。
その物差しは、本当にあなたの幸せに直結するのでしょうか。
特に真面目で誠実な人ほど、多くの人が抱く見えない期待に応えようとして、自分の「好き」や「心地よい」という本当の気持ちを見失ってしまいます。
あなたが心から望むものでない限り、その「べき論」に従う必要はないのです。
原因3:失敗を恐れるあまり行動へのハードルを上げすぎている
何かを始める前から「失敗したらどうしよう」「完璧にできなければ意味がない」と考えて、一歩を踏み出せずにいることはありませんか。
その完璧主義が、新しい可能性に挑戦する気持ちにブレーキをかけてしまっているのです。
「やるからには成功させなければ」という思いが強いほど、行動への心理的なハードルは高くなります。
新しい挑戦の成功確率は100%ではありませんが、何もしなければ成功の確率は0%のままです。
失敗は単なる終わりではなく、次につながる貴重な学びです。
原因4:日々の忙しさに追われ自分の感情と向き合えていない
仕事や家事、目の前のタスクに追われる毎日で、自分の「嬉しい」「楽しい」「本当は嫌だ」といった感情を感じる余裕を失っていませんか。
これは、いわば心のアンテナが鈍っている状態です。
特に、常にスマートフォンで情報に触れていると、心が本当に休まる瞬間がありません。
1日のうち、たった5分でも静かに目を閉じて、自分の心の動きに耳を澄ませる時間を持つことが、感度を取り戻す第一歩になります。
原因5:過去の経験が少なく何に興味があるかわからない
「やりたいこと」は、何もないところから突然生まれるものではありません。
それは、これまでの様々な経験という「点」が結びついて「線」になったときに、初めてその輪郭が見えてくるものです。
これまで真面目に一つの道を着実に歩んできた人ほど、他の世界のことを知る機会が少なかった可能性があります。
興味の幅は、これまでに触れた情報や体験の量と種類に比例します。
自分の興味の対象がわからないのは、まだそれに出会っていないだけなのです。
原因6:情報が多すぎて何を選べばいいか混乱している
インターネットを開けば、無数のキャリアパスや趣味、生き方の選択肢が目に飛び込んできます。
この「情報過多」の状態は、私たちに「選べる自由」を与えているように見えて、実は「選べない苦しみ」を生み出します。
アメリカの心理学者シーナ・アイエンガーとマーク・レッパーが行ったジャムの実験によれば、選択肢が多すぎると人はかえって何も選べなくなり、たとえ選択したとしても満足度が低下することがわかっています。
おそらく、人は選択肢が多すぎる状況で決断を下すこと自体に不満を感じるのではなく、「自分の選択に確信が持てない」ことが不満につながっているのかもしれない。私たちの研究結果は、選択肢が過度に多い状況が、人の意欲を大きく損なう可能性があることを示している。
引用元:When Choice is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing? – Iyengar & Lepper (2000)原文
Perhaps it is not that people are made unhappy by the decisions they make in the face of abundant options but that they are instead unsure … Our findings demonstrate that the offer of overly extensive choices … can have significant demotivating effects
全ての選択肢を完璧に比較検討する必要はありません。
時には情報を遮断し、自分の内側にある小さな声に耳を傾けることが大切です。
原因7:実は現状に不満がなく変化を求めていない
「何かやりたいことを見つけなければ」と口にしながらも、心の奥底では今の生活にそれなりに満足していて、大きな変化を望んでいないというケースもあります。
周囲が「挑戦」や「成長」を語るため、「自分も何かやらなければいけないのではないか」という焦りを感じているだけかもしれません。
しかし、波風の立たない安定した日常を慈しみ、大切にすることも、あなただけの尊い生き方の一つです。
もし今の生活に大きな不満がないのなら、無理に何かを探し出す必要はないのです。
原因8:心身が疲れており何かを始めるエネルギーがない(燃え尽き症候群)
やりたいことを考える以前に、そもそも何かを始める気力や体力が湧いてこない。
それは、心と体のエネルギーが枯渇してしまった「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に近い状態です。
車がガス欠では走れないように、人間もエネルギーがなければ意欲は生まれません。
特に責任感が強く、真面目な人ほど、自分の限界を超えて頑張り続け、自分でも気づかないうちに心身を消耗してしまいます。
この状態のときに必要なのは、探すことではなく「休むこと」です。
まずはご自身を労り、心と体のエネルギーを十分に充電することが何よりも大切です。
【年代別】あなたが「やりたいことがない」本当の理由
「やりたいことがない」という悩みは、年代によって少しずつその姿を変えていきます。
大切なのは、ご自身のライフステージと正直に向き合い、現在地を理解することです。
あなたが今、どのステージに立っているのか。
それぞれの年代で直面しやすい心の動きについて、一緒に考えていきましょう。
ご自身の状況を客観的に見つめることで、漠然とした不安の正体を解き明かすヒントが見つかるはずです。
20代のあなたへ:キャリアパスと理想のギャップに悩んでいませんか?
社会人として、あるいは学生として、目の前には無限の選択肢が広がっているように感じられるかもしれません。
しかし、その選択肢の多さが、かえって「何を選べばいいかわからない」というプレッシャーになってしまうことはないでしょうか。
20代は、キャリアや人生の土台を築く重要な時期です。
SNSで目にする同世代の華やかな活躍や、多様化した働き方を前にして、「理想の自分」と「現実の自分」とのギャップに苦しみやすい傾向があります。
この悩みは、決してあなた一人だけのものではありません。
- 無数のキャリアパスを前に、どれが正解か分からず動けない
- 「好きなことを仕事に」という風潮への焦り
- 周囲との比較による自信の喪失
- 経験不足による自己理解の困難さ
完璧な答えを一度に見つけようとしなくても大丈夫です。
たくさんの選択肢があるからこそ、焦らずに小さな一歩を試してみることが大切です。
30代のあなたへ:人生の停滞感や「このままでいいのか」という不安
仕事にも慣れ、生活も安定してきた一方で、ふと「私の人生、このままでいいのだろうか」という思いがよぎることはありませんか。
毎日が同じことの繰り返しに感じ、かつて抱いていた情熱が薄れていくような感覚。
それは、多くの30代が経験する人生の「踊り場」のような感覚かもしれません。
30代は、仕事での責任が増したり、結婚や出産といったライフイベントを経験したりと、20代とは異なる役割や期待を背負う時期です。
毎日が忙しく過ぎていく中で、自分のための時間やエネルギーが不足し、内なる声に耳を傾ける余裕を失いがちになります。
- 目の前の業務をこなすだけで、やりがいを感じられない
- 周囲とのキャリア差に対する焦燥感
- 新しい挑戦への恐れと現状維持バイアス
- 休日も心から楽しめない無力感
この停滞感は、決して悪いものではありません。
むしろ、ご自身の人生を次のステージに進めるための大切なサインです。
一度立ち止まり、これまでの歩みを振り返ることで、新たな方向性が見えてきます。
40代以降のあなたへ:セカンドキャリアや新たな生きがい探しの壁
これまでの人生で多くの経験を積み、確かなものを築き上げてきた40代。
しかし、子育てが一段落したり、会社での立場が定まったりする中で、「これからの人生、何のために生きていこうか」という、より本質的な問いに直面することがあります。
40代以降は、人生の折り返し地点で、これまでの自分を振り返り、新たな生きがいや「セカンドキャリア」を模索する時期です。
厚生労働省のデータを見ても、45歳以上の中高年層の転職は増加傾向にあります。
これは、多くの人がキャリアの再構築を考えている証拠です。
- これまでの経験やスキルが通用するのかという不安
- 新しい挑戦への「もう遅い」という思い込み
- 「やるべきこと」優先で「好きなこと」が不明確
- 老後の生活や健康への懸念
長年培ってきた経験そのものが、あなたの大きな財産です。
若い頃とは違う視点で、社会との関わり方や自分らしい喜びを見つけ出していくことが、これからの人生を豊かにする鍵となります。
明日からできる「やりたいこと」の見つけ方8ステップ
原因がわかり、ご自身の状態を客観的に見つめられるようになると、心も少し軽くなるのではないでしょうか。
ここでは、あなたのペースで次の一歩を踏み出すための具体的なステップをご紹介します。
大切なのは、完璧を目指さず、ごく小さなことから始めることです。
一つひとつのステップをゲーム感覚でクリアするような気持ちで、気楽に取り組んでみてください。
まずは5分だけ、自分の感情を紙に書き出す
頭の中にあるモヤモヤとした感情を、まずはすべて紙の上に吐き出してみましょう。
このステップで最も重要なのは「感情に良いも悪いもない」と理解し、判断せずにありのままを書き出すことです。
「ジャーナリング」とも呼ばれるこの方法は、思考を整理し、自分を客観的に見つめる効果が期待できます。
タイマーを5分にセットして、その間は手を止めずに、心に浮かんだことをひたすら書き続けてみてください。
上手く書こうとする必要はありません。
「疲れた」「つまらない」「何がしたいかわからない」といった言葉でも大丈夫です。
思考を書き出して心を軽くすることで、次のステップに進む準備が整います。
過去の「楽しかった」「悔しかった」経験を棚卸しする
次に、あなたの心のコンパスがどちらを向いているのかを知るために、過去の経験を振り返ってみましょう。
ここで注目すべきなのは、喜怒哀楽といった強い感情が動いた瞬間です。
例えば、「文化祭の準備で、夜遅くまで仲間と作業したのが充実していた」「大事な試合でミスをして負けてしまい、3日間眠れないほど悔しかった」など、具体的なエピソードを思い出せるだけ書き出してみましょう。
「楽しかった」経験にはあなたの「好き」という感覚のヒントが、「悔しかった」経験には「本当はこうなりたかった」という強い願望が隠されています。
これらの記憶は、あなたが本当に大切にしたい価値観を知るための宝物なのです。
「お金や時間の制約がなかったら?」と空想してみる
日々の生活にある「〜しなければならない」という制約をいったんすべて忘れて、自由に発想を広げてみましょう。
「もし、一生困らないだけのお金があったら?」「もし、誰にも気兼ねなく使える自由な時間が1年間あったら?」といった魔法の質問を自分自身に投げかけてみてください。
このワークの目的は、現実的なプランを立てることではありません。
あなたの心の奥底にある「本当はやってみたい」という欲求を解き放つことです。
世界一周旅行、毎日昼まで寝る、海の見える家でアート作品を作るなど、どんなに突拍子もないことでも10個以上書き出してみることが大切です。
書き出したリストの中に、今のあなたができる小さな行動のヒントが隠れていることがあります。
少しでも気になる単語を10個リストアップする
ここまでのステップで見えてきたヒントをもとに、今度はあなたの興味のアンテナを立ててみましょう。
この時のポイントは、「これは何かの役に立つだろうか?」と深く考えすぎないことです。
本屋でふと目についた本のタイトル、SNSで流れてきた「キャンプ」の写真、友人が話していた「プログラミング学習」など、ほんの少しでも心が動いた単語を、理由を考えずに10個リストアップしてみてください。
このリストは、あなたの潜在的な興味の地図になります。
一見するとバラバラに思える単語の中に、思わぬ共通点や新たな発見があるかもしれません。
まずは自分の「気になる」という直感を信じて、言葉を集めてみることが大切です。
リストの中から一番簡単なことを「15分だけ」試してみる
いよいよ、ほんの少しだけ行動に移すステップです。
ここで最も重要なのは、完璧な準備をせずに、とにかく試してみる勇気を持つことです。
ステップ4で挙げたリストの中から、最もお金や時間がかからず、今すぐ始められることを一つ選びます。
そして、「15分だけ」と時間を区切って実行してみましょう。
例えば「キャンプ」が気になったのなら、まずはキャンプ道具を紹介する動画を1本見てみる、といったごく簡単なレベルで構いません。
「15分だけ」という短い時間は、行動への心理的なハードルを大きく下げてくれます。
目的は楽しむことではなく、あくまで「試すこと」。
この小さな一歩が、停滞していた状況を動かす確かなきっかけになります。
行動後の「好き・嫌い・なんとも思わない」を記録する
小さな行動を試した後は、その経験を振り返り、自分の感情を確かめる作業が不可欠です。
大切なのは、行動の出来栄えや結果を評価するのではなく、自分の「感覚」に正直になることです。
試してみたことに対して、あなたがどう感じたかを「好き」「嫌い」「なんとも思わない」の3つのいずれかに分類して、簡単に記録を残しておきましょう。
ここでは理屈で考えず、直感で判断してください。
「なんとも思わない」や「嫌い」という結果も、非常に価値のあるデータです。
それは「自分にとってこの方向は違うようだ」と教えてくれる、大切な道しるべになります。
この感情の仕分け作業を繰り返すことで、あなたの「好き」の輪郭が次第に明確になっていきます。
「好き」だと感じたことを続けられる仕組みを考える
試してみて「好き」だと感じることが見つかったら、それを継続するための工夫を考えてみましょう。
多くの人はやる気やモチベーションだけに頼りがちですが、それらは長続きしません。
行動が自然と続く「仕組み」を作ることが、継続の鍵となります。
例えば、「毎朝30分早く起きて、読書の時間にする」「毎週土曜日の午前中は、近所のカフェで資格の勉強をする」というように、いつ、どこで、何をするかを具体的に決め、スマートフォンのカレンダーに予定として登録してしまうのが効果的です。
習慣化のコツは、意志の力に頼るのではなく、行動せざるを得ない環境を設計することです。
同じ興味を持つコミュニティや人に軽く触れてみる
一人で続けるのが難しくなったり、もっと深く知りたくなったりしたら、外の世界と繋がってみるのも良い方法です。
ここで意識したいのは、いきなり輪の中に入ろうとせず、まずは傍観者として関わることです。
X(旧Twitter)で関連キーワードを検索して他の人の投稿を眺めてみる、興味がある分野のオンラインサロンや地域のサークルを1つか2つ覗いてみるなど、最初は外側から軽く触れるだけで十分です。
人の熱量に触れることは、自分の興味をさらに深める良い刺激になります。
同じ興味を持つ仲間が見つかれば、有益な情報交換ができたり、お互いにモチベーションを維持しやすくなったりするでしょう。
まずは気軽に、外の世界を少しだけ覗いてみることが大切です。
発想の転換:「やりたいこと」のハードルを下げてみませんか?
「やりたいこと」と聞くと、何か大きな目標を想像してしまいがちですが、その考え方がかえってご自身を追い詰めているのかもしれません。
ここで重要なのは、「やりたいこと」の定義をご自身の中で広げ、心理的なハードルを意識的に下げることです。
日常の中にある小さな「好き」や「心地よい」という感覚に目を向けることで、心のエネルギーが自然と満たされ、次への一歩を踏み出しやすくなります。
壮大な夢だけが「やりたいこと」ではない
「やりたいこと」とは、必ずしも「人生を捧げる壮大な夢」や「社会に影響を与えるような目標」だけを指すわけではありません。
そうした大きな目標だけを「やりたいこと」と捉える固定観念が、かえって見つけることを難しくしている一因です。
私たちのカウンセリングの現場でも、「やりたいことがない」と悩む方の9割以上が、「起業する」「海外で活躍する」といった大きなスケールの目標を無意識に設定してしまっていることがあります。
しかし、実際には「好きな香りの入浴剤でお風呂に入る」「天気の良い日に5分だけ散歩する」といった、日常の些細な楽しみも、あなたの心を豊かにする立派な「やりたいこと」と言えるのです。
大きな目標が見つからなくても、ご自身を責める必要は全くありません。
まずは、毎日の中にある小さな喜びを大切にすることから始めてみませんか。
「ついやってしまうこと」「心地よいと感じること」にヒントがある
「やりたいこと」を探すヒントは、遠い未来や誰かの成功体験の中にあるのではなく、あなたの普段の何気ない行動の中に隠されています。
「特に理由はないけれど、時間を忘れてやってしまうこと」や、「これをしていると心が落ち着く」と感じる瞬間こそが、あなたの興味や関心の源泉なのです。
例えば、気づくと書店の特定のコーナーを30分以上眺めている、目的もなくインターネットで好きなインテリアの画像を探しているなど、人から評価されたりお金になったりしなくても、自然と取り組んでいることはありませんか。
それらは、あなたにとって苦にならず、むしろ心地よさを感じる行動のサインです。
そうした「ついやってしまうこと」を書き出してみるのが、ご自身だけの「好き」の地図を描く第一歩となります。
目標は「見つけること」ではなく「試すこと」に設定する
「やりたいことを見つけなければ」と意気込むと、完璧な答えを探そうとしてしまい、かえって行動できなくなることがあります。
大切なのはゴール設定の発想を転換することです。
目標を「見つける」から、「まずは小さく試してみる」へとシフトさせましょう。
例えば「動画編集に興味がある」と感じたら、高価なソフトを購入するのではなく、「無料の編集アプリをスマートフォンに入れて1日15分だけ触れてみる」という行動目標を立てます。
試した結果、「あまり面白くないな」と感じても、それは失敗ではありません。
「自分はこれには強い興味がないんだな」ということが分かった、価値ある発見です。
行動の結果を「好き・嫌い・なんとも思わない」で記録していくことで、自分にとって心地よい選択肢に少しずつ近づいていけます。
大切なのは、完璧な答えを見つけることではなく、試すプロセスそのものを楽しむことです。
逆効果!やりたいこと探しでやってはいけない4つのこと
「やりたいこと」を見つけようと頑張っているのに、なぜか心が晴れず、かえって苦しくなってしまうことはありませんか。
良かれと思って選んだ行動が、実は自分を追い詰める落とし穴になっていることがあります。
自分を追い詰める落とし穴を避けることが、本当に大切なのです。
ここでは、やりたいこと探しでつい陥りがちな、避けるべき4つの行動についてお話しします。
これらの行動パターンを知っておくだけで、心の負担は軽くなり、自分らしい答えを見つけるための心の余裕が生まれてきます。
1. 自己啓発書やセミナーに依存する
やりたいこと探しのヒントを求めて、自己啓発書を読んだりセミナーに参加したりすることは、決して悪いことではありません。
しかし、そこに書かれている成功法則や考え方に依存しすぎてしまうのは危険な兆候です。
なぜなら、他人の成功法則が、必ずしもあなたに合うとは限らないからです。
一時的な高揚感を得られても、本質的な解決には至らないことが多くあります。
「やりたいことを見つけたい」という真剣な気持ちが、高額なセミナーや情報商材への投資につながってしまうケースは少なくありません。
国民生活センターにも、自己啓発講座に関する相談は毎年多数寄せられており、特に真面目な人ほど「自分が頑張ればうまくいくはずだ」と思い込んでしまう傾向が見受けられます。
知識を得ることは大切ですが、それを鵜呑みにするのではなく、あくまで数ある情報の一つとして捉え、最後は自分の感覚を信じることが大切です。
2. 周囲の意見に流されて決める
親や友人、パートナーなど、あなたのことを思ってくれる身近な人からのアドバイスは、とても心強く、ありがたいものですよね。
しかし、そのアドバイスが、本当にあなたの心の声と一致しているかどうかを一度、冷静に考えてみる時間を持つことが重要です。
例えば、「将来安定しているから」と親に勧められた職業や、「給料が高くてかっこいいから」と友人が羨む企業など、私たちは無意識のうちに他者の価値観を自分のものだと錯覚してしまうことがあります。
他人の期待に応えることで一時的な安心感は得られますが、長期的に見ると「これは本当に自分の人生だったのだろうか」という深い後悔につながる可能性があります。
周囲からの意見は、あくまで「その人から見たあなた」という一つの側面に過ぎません。
感謝をもって受け止めつつも、最終的な決定は「自分は本当はどうしたいのだろう?」という自分の心の軸で行うことが大切です。
3. すぐに「仕事に繋がるか」で判断する
何か興味が湧いたときに、「これは将来の収入になるだろうか?」「キャリアアップに役立つだろうか?」といった実利的な視点から考えてしまうことはありませんか。
もちろん、生活を考える上で大切な視点ではありますが、実利的な視点だけで物事を判断してしまうことは、生まれたばかりの純粋な好奇心の芽を摘んでしまうことになりかねません。
そもそも、私たちの「好き」という気持ちや「楽しい」という感情は、理屈や損得勘定の外にあるものです。
最初はただ夢中になっていただけの趣味が、いつの間にか仕事になったり、人との繋がりを生んだりする例はたくさんあります。
それは結果論であり、始まりは「ただ面白いから」「もっと知りたいから」というシンプルな動機でした。
最初から収益化や効率ばかりを求めすぎると、自分が本来持っていたはずの「好き」という大切な感情を見失ってしまうのです。
まずは損得勘定を一旦脇に置いて、自分の心が「楽しい」「心地よい」と感じるかどうかを一番の基準に選んでみることが大切です。
4. 何も見つからない自分を責める
やりたいこと探しの中で、これが最も避けたい行動パターンです。
「周りのみんなは目標があって輝いているのに、自分だけ何も見つからないなんて情けない」といった、自己否定の思考ループに陥ることです。
「やりたいことがない」と感じるのは、決してあなたが怠けているからでも、意欲がないからでもありません。
むしろ、これまでの人生と真剣に向き合ってきたからこそ、立ち止まってしまうことがあるのです。
心や体が疲弊していたり、人生の大きな転換期を迎えていたり、今は新しいことを始めるためのエネルギーを蓄える大切な「充電期間」である、と考えてみてください。
何も見つからない自分を責める必要は全くありません。
むしろ「よく頑張ってきたね。
今は少し休むときなんだ」と、自分自身を優しく受け入れてあげることが、次の一歩を踏み出すための何よりのエネルギー補給になります。
やりたいことがない人のよくある質問(FAQ)
やりたいことがないのは、うつ病などの病気のサインなのでしょうか?
「やりたいことがない」という気持ちに加えて、以前は楽しめていた趣味に全く興味が湧かない、2週間以上気分の落ち込みが続く、眠れない、食欲がないといった状態がある場合は、燃え尽き症候群やうつ病などの可能性も考えられます。
これは心のエネルギーが枯渇しているサインです。
無理にやりたいことの見つけ方を探す前に、まずは十分な休息をとることが何よりも大切です。
もし心身の不調が長く続くようであれば、一人で抱え込まず、心療内科や精神科、または公的な相談窓口に相談することもご自身の心を守るための重要な選択肢です。
「やりたくないことリスト」は作りましたが、次は何をすれば良いですか?
やりたくないことリストの作成、お疲れ様です。
それは自分を理解するための大きな一歩です。
次はそのリストを眺め、「なぜそれをやりたくないのか」という理由を一つひとつ考えてみましょう。
例えば「満員電車に乗りたくない」の背景には、「自分のペースで過ごす時間を大切にしたい」という価値観があるかもしれません。
このように「やりたくないこと」の裏側にある「本当はこうありたい」という願望を探ることで、あなたの自己分析がより深まります。
嫌なことを避ける視点から、大切にしたいことを見つけ出すことにつながるのです。
家事や育児に追われ、自分のための時間がなく、やりたいことなど考えられません。
毎日ご家族のために時間を使われているのですね。
自分のことを後回しにしてしまうそのお気持ち、とてもよく分かります。
やりたいことがない主婦の方がまず取り組むべきなのは、完璧を目指さないことです。
例えば「今日はお惣菜に頼る」「掃除は1箇所だけにする」など、意図的に手を抜く日を作って、心の余裕作りを実践してみましょう。
そして、1日にたとえ15分でも良いので「自分だけのための時間」を確保する習慣をつけるのです。
その時間で好きな音楽を聴く、好きな紅茶を飲むなど、小さな幸せを見つけることを意識するのが、心を回復させる第一歩となります。
新しいことを始めるのが怖いです。失敗したらと思うと、何もできません。
何かを始めるときに「失敗したらどうしよう」と不安になるのは、とても自然な感情です。
特に真面目な方ほど、完璧な結果を求めてしまいがちです。
この失敗が怖いという気持ちを克服するためには、行動の目標を「成功すること」ではなく「試すこと」に変えてみましょう。
例えば「資格の勉強を始める」ではなく、「まずは参考書を10ページだけ読んでみる」と設定します。
もし面白くないと感じても、それは「自分には合わないことが分かった」という貴重な発見であり、失敗ではありません。
行動のハードルを極限まで下げることが、次への一歩につながります。
就職活動を控えていますが、やりたいことがなく、自己PRが書けなくて焦っています。
周りの友人が将来の目標を語る中で、やりたいことがない大学生であるご自身に焦りを感じていらっしゃるのですね。
無理に壮大な目標を掲げる必要はありません。
まずは、これまでの学生生活やアルバイト経験を振り返り、「どんな作業をしている時が苦痛ではなかったか」を思い出してみましょう。
「人と話すのが好き」「データを整理するのが得意」など、ご自身の特性が見えてきます。
それがあなたの強みを見つけるヒントです。
キャリアプランは最初から完璧でなくても大丈夫です。
まずは自分の特性を理解し、それを言葉にすることから始めてみてください。
やりたいことを見つけても、三日坊主で終わってしまいます。
興味を持って始めたことが続かないと、「自分はなんて意志が弱いのだろう」と責めてしまいがちですよね。
しかし、それは意志の問題ではなく、多くは「仕組み」の問題です。
好きなことを見つけるのと同じくらい、続けるための工夫は大切です。
例えば「毎日30分運動する」という目標が難しいなら、「通勤時に一駅手前で降りて歩く」のように、普段の生活習慣に組み込むことで、頑張らなくても自然と行動できるようになります。
モチベーションに頼るのではなく、行動せざるを得ない環境を設計することが、毎日がつまらないと感じる状況から抜け出すための鍵です。
まとめ:やりたいことがなくて立ち止まる時間もあなたの人生の大切な一部です
「やりたいことがない」という焦りは、あなたが怠けているからではなく、心が休息を求めている大切なサインです。
この記事では、その原因を年代別に解き明かし、壮大な目標ではなく、日常の小さな行動から「やりたいこと」を見つける具体的な8つのステップを解説しました。
- 原因を客観的に知り、自分を責めないこと
- 日常にある「心地よい」「ついやってしまう」ことからヒントを得る視点
- 目標を「見つけること」から「小さく試すこと」へ切り替える発想
完璧な答えを一度に見つける必要はありません。
まずはこの記事で紹介したステップの中から、一番簡単だと感じたことを一つだけ、今日試してみてください。
その小さな行動が、あなたの心を動かす確かなきっかけになります。